ライフステージの変化に寄り添い、家族それぞれに伴走する「かかりつけサロン」を目指し活動（2/3）

紫外線の影響が大きいオーストラリアで認められたスキンケアと心を解きほぐすリラクゼーションが強み

　阿部さんが化粧品のビジネスを始め、オーストラリアへ移住したのは27歳のとき。リゾート地、ゴールドコーストでエステサロンをスタートします。

　「オーストラリアは、オゾンホールにより紫外線の影響を受けやすく、肌に過酷な環境です。健康的で丈夫な皮膚を育てることへの関心は日本人よりも数段高く、評価もシビアでした」と振り返ります。

　「酸化による肌組織のダメージを、どのように食い止めるのか」。渡豪前から研究に没頭し、紫外線に反応する油などの成分を用いないコスメを開発。デリケートな表皮には刺激を与えず、深層部の角質層を強化し、バリアー機能を引き出す皮膚理論に基づいた「RG還元フェイシャル法」にたどりつきます。

　また、全身に施すリラクゼーションは、現地オージーだけでなく日本から訪れるスポーツ界や芸能界の著名人からも支持を集めたそうです。
　「常にハイレベルの活躍を期待される人は、筋肉はもとより精神的な緊張度は計り知れません。セラピストとして手技を磨くだけでなく、心の開放までお手伝いしたいと痛感しました」

　2010年に帰国した当初、オーストラリアでの数々の経験によって研ぎ澄まされた阿部さんの手に、日本人特有の疲労度が直接伝わってくるように感じられたそうです。

　「ハードスケジュールをこなす著名人やプロアスリートたちと程度の差はあっても、真面目な国民性にもよるのか、心身の疲労度の高さは明らかでした。東日本大震災の直後にも同様の印象を受けたことから、多くのストレスにさらされている現代人に必要なのは、それぞれの心身のバランスに働きかける技術だと確信したのです」

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