特別支援学級、通級指導教室からの高校進学について

小・中学校において学習面で支援を必要とする生徒に対して、
個性に応じた支援を受けることができます。
今回は、特別支援学級、通級指導教室についてそれぞれの特徴と
高校進学についての課題を考えてみたいと思います、

「特別支援学級」
特別支援学級は、下記の7つの障害種別ごとに学級があります。
「自閉症・情緒障害」「知的障害」「肢体不自由」「弱視」
「難聴」「言語障害」「病弱者及び身体虚弱」
少人数制（8名が規準）の学級となりますが、学級に他学年の
生徒も在籍します。

生徒の学力に合わすため、同学年の内容とは異なる学習を行う
ことになります。
例：小学6年生が足し算の筆算を練習するなど
なかよし教室や支援級などと呼ばれることもあります。

通級指導教室
通級指導教室とは、通常の学級に在籍しながら週数回程度、
「通級による指導」という特別の指導を受ける教室です。

障害の程度が比較的軽度であること、在籍クラスが通常の
学級であるところが、特別支援学級との違いです。
ただし、通級による指導は在籍校で受けられるとは限りません。
在籍校に、自分の特性にあった教室がない場合、別の学校に
移動するケースもあります。

目的は、学校の補習的な授業をすることではなく、
学習面や生活面の困りごとを和らげることにあることがポイントです。
通級以外に、ことばの教室やさんすう教室など、〇〇教室と
呼ばれていることが多いです。





高校進学について
では、特別支援学級や通級指導教室、から高校進学は可能なのでしょうか？

答えは、可能です。

実際に多くの生徒が高校へ進学しています。
しかし、通信制の割合が高くなっています。

中学校で特別支援学級や通級指導教室に在籍していた場合、
地域や学校によっては通知表の評価（内申点）がもらえないという
ケースがあります。

つまり、調査書に点数が付かない科目があるということです。
また、評価がもらえたとしても、点数は高くないことが想像できます。
公立高校への進学の場合、通知表の評価が重要ですので、公立高校への
進学は厳しくなります。

私の教室でも、保護者の方からよくご相談いただくのは、
「小学校では支援を受けていて、中学校では支援級に入った方がいいと
勧められたが、どうすればいいか悩んでいます」というものです。

これは、非常に難しい判断となります。
生徒の学力や特性などにより様々なケースが考えられますが、
私が必ず確認していることは、
「進路に際してどのような考えをお持ちなのか」です。

「できれば、通信制ではなく、全日制の高校に進んで欲しい」
「野球が好きなので、野球部のある高校に進ませてあげたい」
「何とか、大学まで進学して欲しい」

など、言われることが多いです。
そして、ほとんど共通していると思いますが、1番の願いは
「将来、社会人として一人で生活できるようになって欲しい」
です。

先に書きましたように、通知表に点数が付かなければ
全日制の高校進学が難しくなります。
かといって通常教室での授業にはついていくことができない。
保護者としては大きな悩みです。

私は、保護者の方に学校側に成績の付き方を確認してくださいと
お願いしています。
それにより、どう対応していくことが最善かを検討していきます。
支援級や通級では、通常級と同じ授業内容を進めるのはかなり厳しいです。
そうなると、通常級の定期テストが受けられず評価（成績）が付けられません。

その場合は、塾で通常級の授業進度に合わせて、その生徒ができる
問題を解けるようにして、定期テストは通常級で受けるように
してもらうのですが、これも学校との交渉が何かと大変です。

しかし、生徒の将来と保護者の願いを考えると、できることは
全てやるという方針で進めることが大切だと考えています。

また、最近では学力的について行けない科目の授業時に別教室で
授業を受ける生徒も増えています。
地域差とか、学校によっても違いがあるようですが、
このような取り組みは、成績も付くのでありがたいと感じています。

今では、私立高校で発達障害を持つ生徒に対応していていただける
高校もいくつかあります。
私の教室にも、そのような私立高校の先生が来られます。
その際に、学習面に課題のある生徒の特性を伝えて、
どのような対応が可能かを聞くようにしています。

その対応が生徒にとって合っているようなら、実際に
オープンスクールなどに行ってもらうよう保護者に伝えています。
そして、その高校が生徒にとって通えそうであれば受験へ向けて
対策を進めて行きます。

もし、このコラムを読まれた方で、ご自身の子供さんが発達に
課題を抱えていて、学習面に不安があり、これからの進路を
悩まれているのであれば、一度ご連絡ください。