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ブルゾンちえみが本名で活動を決意。30代女性がキャリアアップやキャリアチェンジに気づくタイミングとは?

カテゴリ:
ビジネス
キーワード:
キャリアコンサルティング

「35億ネタ」でブレークしたブルゾンちえみさんが、30歳を目前に事務所を退社。本名の藤原史織として新たな活躍の場へ進むに至った思いを語り、同世代の女性の共感を呼んでいます。仕事にも恋愛にもポジティブ思考のキャリアウーマンが「ああ、女に生まれて良かった!」と言い放つキャラクターを演じ、同世代の女性を励ました一方で、テレビ出演で求められるイメージと、本来の自分とのギャップを感じていたと言います。

ある程度社会経験を積んできた30代女性の多くが、「この仕事をこのまま続けていいのか」「他にやりたいことがあったはずだ」と、キャリア形成や人生の方向性に苦悩するなか、彼女のように思い切った決断をできる人は少ないのではないでしょうか。悩める女性の人生の転換期について、キャリアコンサルタントの大地良枝さんに聞きました。

「仕事をやらされている感」が消えないときに生まれる違和感。思い込みにとらわれず偶然の出合いをキャッチする柔軟性がチャンスにつながる

Q:本名の藤原史織として再出発を決めたブルゾンちえみさんですが、お笑い芸人としての活動に対する評価は別にしても、この決断には多くの女性が好印象を持ったようです。その理由は?
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特に仕事を持つ女性の多くは、働き方(=生き方)に、「思っていたことと何かが違う」「本当はもっと他に居場所があるはずだ」と思っています。

誰しも、自分がしたいことと、実際にしていることが必ずしも同じではないと感じているのです。それでも、生活や環境などの事情で、現状をすぐには変えることができない人がほとんど。人気者だったブルゾンちえみ(藤原史織)さんに自分を重ねて見て、思い切った行動ができたことに、同じ女性として「よくやったな」と、感心したのでしょう。

芸能人ということを別にしても、自分が到底できないと思っていることをやってのけた同世代に対して、一種の憧れのような感情を抱いたということと、環境問題など社会的課題についての発信にも好印象を持ったのではないでしょうか。

Q:藤原史織さんは、教員を目指して進んだ大学時代にも前向きになれず、中退してしまったそうです。彼女のように、生き方を変えるタイミングに気付くのはどんな時でしょう?
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現代は、仕事や生き方の選択肢が多い時代。たとえ自分が経験していなくても、実際に関わってきた周りの人たちだけではなく、多くの芸能人や一般人が発信する情報を大量に得ることができます。

そんな中から、自分で選択したコースを進んできたつもりなのに、「何かが違う」「なんとなく『やらされている感』がぬぐえない」という感情がわいてくることがあります。

例えば、それなりに特別な知識の習得をしてきて、ようやくその職能を手にしたものの、イメージしていたプロフェッショナルな仕事内容とは全く違う地味な作業の連続だったとき。

あるいは、自分的には納得できる仕事の成果が、全く認めてもらえないようなとき。

こうした「違和感」が心に浮かんでくると、それが自分のスキルや経験などの未熟さであることに気付いて、この道をさらに進もうという意欲につながらず、立ち止まってしまうきっかけになることがあります。

Q:人生には、いくつかの転換期がありますが、20代後半から30代は女性にとってどのような意味がありますか?
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生まれてから学生、社会人と過ごしてきて、女性のライフサイクルとして、その先に結婚、出産ということが現実見味を帯びてくるのがこの世代。仕事を持ち、お金や時間、エネルギーを自分のために使えることを実感し始めたとき、今後の自分の人生の方向性を考えることはとても自然です。

ところが、活動的に何にでも挑戦でき、やり直しができる、そんな自由な世代のはずなのに、実はある種の重圧を感じている人も多いようです。

仕事に関することだけでなく、例えば前世代的とも思える「仕事か結婚か」の二者択一のような考えにとらわれる人も意外に多いのが現状です。「婚活」「妊活」といった、何かの活動を強いられるような感覚にもなりがちです。

当然、どんなことも、ことさら活動などしなくても実現可能ですし、情報や周囲に過度に影響されて、「何かに挑戦し続けなければならない」ということもありません。それらを判断するのも「自分の責任の範疇において自由」であるはずです。

こうした圧迫感を抱えて、必要以上に生きづらい思いを抱えてしまう世代ではないでしょうか。

Q:これまで順調に積み重ねたキャリアに疑問を持ち始めても、次の一歩をなかなか踏み出せない女性がほとんどです。藤原詩織さんのように、思い切った決断ができた人と何が違うのですか?

確かに自分が納得できる心豊かな人生を実現するために、キャリアデザインを考えて自分をプロデュースしていくことはとても大切です。

しかし現実には、予期しない出来事の中にこそ、そのときの疑問を解決するヒントがあったりするものです。

実際、自分の得意分野や興味があることではないのに、偶然の巡り合わせで目の前に出された事柄に関わってみたら「物事が好転した」などということがよくあります。

今回の新型コロナ禍でも、仕方なく何ができるか考えてみたら「仕事の可能性が広がった」という人がたくさんいたはずです。

これは「計画された偶発性理論」と言って、特にキャリア問題解決の際の大きなポイントとなる考え方です。不確実性に満ちた現代では、大いに活用すべき理論でしょう。自分には向いていないと思い込んでいたプロジェクトや人との出会いが、思わぬ新境地の開拓やキャリアアップにつながることは、どんな時どんな世代にも起こり得ます。

次のステップが踏み出せない人の多くは、こうした想定外の事態を受け入れるための柔軟性や好奇心が欠けている状態にあるのではないでしょうか。かたくなな思い込みにとらわれていると、踏み出すタイミングを見逃してしまいますし、目の前のチャンスを引き寄せることもできません。

Q:キャリアアップのタイミングを見逃さないために、日頃からできることはありますか?
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自分をプロデュースして、ライフキャリアを築いていくためには、「自分はどういう人間なのか」を正確に理解しておかなければなりません。そこで、日頃から定期的に「自己理解(自己の棚卸し)」をすることをおすすめします。

まず、これまでの自分の経歴、好きなこと、これからやりたいことなどを書き出してみます。さらに、嫌いなこと、苦手なこと、やりたくないことも具体的に書き出します。

例えば、満員電車に乗りたくない、あれこれ指示されたくない、隣に他人がいる状態はイヤ、むしろたくさんの人にいてほしい、数字やデータで思考したいなど。

知っているようでも、こうして書き出してみると、「自分とは、そういう人だったんだ」と気付くことも多いはずです。そして、「これだけはハズせない」という優先順位もはっきりします。

転職活動をする時の職種選択の目安や、現在の職場での在り方を再認識することにもなります。また新しいコミュニティーに所属する際の価値観の照らし合わせにも有効ですし、何より生活のモチベーションを上げることにもつながります。定期的に「自己を承認」するのです。

女性は誰しも自分の人生で輝くために生まれてきたはずです。どんなシーンにも、アップデート(更新)のきっかけはたくさんあります。前に踏み出したいときにいつでも踏み出せるよう、古い自分は思い切って捨てて、ポータブル(どんな場所でも持ち運び可能)なスキルを磨きましょう。どんな時にも「ああ、女に生まれて良かった!」と言えるように。

大地良枝

「私を演じる」女性のライフキャリアのあり方提案のプロ

キャリアコンサルタント

大地良枝さん(NPO法人 美メイク・アクトレス)

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