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小川哲也

借地権・底地の問題や投資物件の評価に強い不動産鑑定士

小川哲也(おがわてつや) / 不動産鑑定士

おがわアセットカウンセル株式会社

コラム

コロナ禍で地価は下がると言いましたが、実際には上がりました。

2022年6月7日

テーマ:地価の話

コラムカテゴリ:住宅・建物

2年前に私はコロナ禍で地価は確実に下がると予想しました。問題はどの程度下落し、それがどのくらい続くのかと、当時は懸念しておりました。
確かに、銀座や渋谷のような高度商業地は現在も下落していますが、私の地元、千葉県柏市周辺の住宅地は全体的に上昇傾向となりました。
また、工業地は大規模流通倉庫の需要が伸び続けている状況で、現在のところ地価は大きく上昇している箇所が多いです。
これらの状況を考慮すれば、私の予想のうち半分は当たらなかったと言わざるを得ません。





〇一番驚いていること


それは、過去30年近く下落しつづけていたような住宅地の下落が止まったことです。さすがに上昇とまでは言えませんが、下落は明らかに止まっています。
確かに安い事例もまだあるのですが、それ以上に高目な事例が増えてきました。
戸建開発業者が仕入れを拡大していることが主な原因ですが、彼らのマーケティングによれば、エンドユーザーの新築戸建住宅の購入意欲が増大しているということなのでしょう。
私は、地元周辺の地価公示や地価調査、相続税路線価や固定資産財標準宅地の評価を通じて、このようなエリアの地価下落が止まるというイメージがありませんでした。ずっと下がり続けるという固定観念で仕事を続けていたことを恥ずかしいと感じました。
ともかく、2022年の6月現在、30年くらい続いた下落が止まったエリアが存在しています。
ただ、まだずっと下がり続けている土地も存在しています。このようなエリアはほぼ需要が無く、マーケットも存在せず、買う人は近所の人だけという土地なのだと思います。


〇イケイケはいつまで続く?


現在は供給不足だそうです。デベロッパーさんも土地がなくて困っている様子です。以前は見向きもされなかったようなエリアの空地に、戸建開発のお知らせ看板が立っているのをよく見かけます。私の事務所はバス便か乗用車でないと駅に出れないような立地ですが、そんなエリアにも戸建開発の現場を多く見ることが出来ます。
また、価格も、3年くらい前までは総額2000万円前後なんていう激安新築戸建が見受けられましたが、今は3000万以下の物件を見つける方が難しい状況になってしまいました。我々はつい土地の単価で推移をみたりしてしまいがちですが、一般の方は総額がいくらで、ローンが月々いくらまで払えるという計算をするため、上がるときは総額4000万円くらいまでは普通に上がってしまう可能性がありますね。
正直言って、こんなところの住宅を誰が買うのかな?とも思いますが、バブルの頃はこの辺りも飛ぶように売れたそうですので、きっと売り切ってしまうのでしょう。
ある意味、コロナ禍が無ければこれほどリモートが普及しなかったでしょうし、リモートが普及しないと、郊外エリアの戸建住宅もこれほど売れなかったでしょう。
世の中何が起きるか分かりませんね。
さて、この傾向はいつまで続くのでしょうか。デベロッパーさんも仕入れに大変苦労しているとのことで、供給過多になる心配はあまり必要ないかもしれません。しかし、企業によってはリモートを廃止するという動きもあり、リモート勤務も頭打ちになる可能性があります。
ただ、極端に減少することも考えにくいですが・・・
色々考えますと、郊外の住宅地で下落から上昇に転じたエリアは、その上昇はやや鈍化していくものと予想します。また、下落から横ばいになったエリアは当面は横ばいが継続するのではないかと予想致します。

また1年後くらいに答え合わせしてみます。

この記事を書いたプロ

小川哲也

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小川哲也(おがわアセットカウンセル株式会社)

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