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パソコンの本体やACアダプタ、充電器が異常に熱い!故障?危険はないの?その判断方法とは

2017年6月2日 公開 / 2024年4月17日更新

テーマ:機器と端末の管理と保守

コラムカテゴリ:くらし

コラムキーワード: パソコン修理パソコントラブルパソコン修理 業者


"熱くなる"のは異常なのかそうでもないのか

●先日あるユーザーから、「ノートパソコンの側面(CPU排熱口)の周りが熱いけれども大丈夫なのでしょうか?」という問い合わせがありました。そのほかにも、「ACアダプタが異様に熱くなるけれども故障なんでしょうか?」という相談もサポートの事例ではよくあります。

パソコンと熱の関係は下記の私の解説ページでも詳しく述べています。
http://www.kumin.ne.jp/kiw/hokori.htm


●パソコンやスマホ、Wi-Fiルーターなどの電子精密機器は稼働中に熱を持ちます。その大きな原因として、CPUやGPUなどの演算装置やLSIなどの各種制御回路から熱が出るためです。それからトランジスタやレギュレータ、バッテリー充電回路、またバッテリー自体などのように電源に関係しているものから出る熱もあります。

●CPUやGPUは微細で膨大な数のトランジスタを集積した集合体です。高速でデータを処理するにはそれなりの大きな電力が必要で、それに伴って熱も発生します。特に3Dゲームなどをやっているとデータ処理も膨大な容量になるので演算回路はフル稼働し、バッテリーを猛烈に消費して機器本体もすごく熱くなります。ですからパソコンやスマホはその仕組み上、発熱自体を避けることはできません。

●また、ACアダプタや充電器がなぜ熱くなるのかというと、コンセントの交流100Vを機器に必要な直流電源に変換する必要があるからです。交流を直流電気にする場合100%変換できるわけではありません。変換の際に損失が起きるのでその分が熱に変わります。容量が大きい機器のACアダプタほど変換する電気の容量も大きくなるため、ACアダプタ本体はその分高温になります。

●パソコンやスマホなどの機器は特に高性能な機種ほど消費電力も大きく、それに比例して発熱量も多くなります。設計上ではそれに耐えられるように計算して作られていますので、通常であれば熱くなってもそう不安になる必要はありません。でも、あまりに熱いと不安になってしまうのも理解できます。

判断の方法は「手をあててみる」

●大丈夫な温度か、そうでないかを判断する一つの目安は、直接手で「触れてみる」ことです。ノートパソコンの場合、CPUファンの排熱口付近や本体の一部、または特定の部分が熱くなるのは普通で正常です。しかし、それ以外の例えばキーボード全体とか本体自体が全体的に明らかに熱くなっている場合は異常です。

●スイッチング式のACアダプタの場合、設計上では通常の気温下で最大60℃程度です。特にゲームや動画編集などをしたりバッテリーの急速充電中など、機器がフル稼働しているとその上限近くに達します。しかし、そのような状況下での温度上昇は異常ではありません。不安がある場合はできるだけ風通しのいいところに置いてできるだけ温度を下げるようにしておく方が故障回避や寿命にとっても良いでしょう。

●作業や充電を行っていない状態(アイドル状態)でACアダプタ本体を直接触ってみて、触っていられるほどの熱さなら問題ないと判断できます。しかし充電中でもなく機器に特に重たい作業をさせていないのに5秒も触っていられない、異臭もするという場合は明らかに異常です。



●熱くなる機器の対処方法を以下のコラムにまとめてみました。

熱くなるパソコン、タブレット、スマホを効果的に冷やして暑さから守る方法
https://mbp-japan.com/saga/pc-pro/column/4008893/


※ノートパソコン起動中は側面のCPU排熱口に触れないこと。排気口やその周囲は特に高温になります。正常な場合でも負荷によっては排熱温度が摂氏100度前後になることがあります。ノートパソコン底面も同様に高温になります。膝の上にのせて長時間作業すると膝が低温やけどを起こすこともあります。



※純正以外のACアダプタを使用している場合は機器にあっていない可能性があります。以下を参考に見直しをしてみましょう。
ACアダプタはコネクタ形状や電圧・電流表示が同じでも互換性があるとは限らない

熱くなっても安全回路があるから大丈夫。でも欠陥品に注意

●ノートパソコンの本体全体が熱く異常な高温になる場合、排熱に問題が生じている可能性があります。例えばCPU冷却用のファンが軸の摩耗やほこりで回転が緩かったり回転自体していないとか、ファンは回転しているけれどもヒートシンクにホコリが詰まって排気が滞り冷却が出来なくなっていることが考えられます。また、システムやアプリケーションエラーなどの異常でCPU使用率が100%のままになってシステムが暴走し熱暴走状態になっている場合もあります。

●そのように機器が異常に熱くなったとしてもパソコンやACアダプタ、充電器にはサーマルセンサー(熱感知センサー)による保護回路が搭載されていて、危険な温度に達したら直ちに機能を停止するようになっています。ですから通常では燃えたりすることはありません。火災などの心配はなく危険ではありません。

●しかし保護回路で停止したあとしばらくたって熱が冷め、機能が回復したからと言ってそのまま使い続けるのは推奨できません。高温になる原因を取り除かずに何度も同じことを繰り返すと機器の故障や寿命の低下を招く可能性があります。それだけでなくパソコンなどの場合は、保護回路が働くと稼働中に問答無用でいきなり瞬断されてしまうことになります。

●そうなると作業中のデータを失ったり、最悪の場合はOSや起動ストレージにトラブルが生じることがあります。ですから保護回路が働いた場合は直ちに使用を中止して原因を取り除いたり、排熱ファンの清掃、修理や交換をしたほうが良いでしょう。

●ACアダプタについては、ほとんど作業をしていないのに触れないくらい熱かったり外装に変形やひずみが見られる、変な臭いがしたりする場合は何らかの異常が発生しています。そのまま使い続けずに危険だと判断しましょう。

●異常な高温の原因は機器の異常や故障だけではありません。特に注意が必要なのはパソコン、スマホのバッテリー不良やACアダプタ、充電器の欠陥などです。最近多くなっているリコール対象製品に該当しているかもしれません。

●異常を感じたら念のため以下のサイトで調べてみましょう。


●高温になる原因には機器以外の問題もあります。布団やカーペット上で使用したり、狭い場所などで使うなど放熱を妨げる使用状況や環境では高温になりやすくなります。そのようなところに置いてスマホやパソコンを充電したり、CPUの放熱口をふさぐような使い方をすると異常な高温になる原因になります。直近に放熱を阻害する障害物があるような場合もそうです。要するに適切でない使い方や環境によって温度が異常に上がってしまうのです。

●熱くなったからすぐに故障と判断する前に、放熱などを考えた適切な使用方法や管理方法を行っているかどうかよく検証してみましょう。



人間は大丈夫でも機器にとっては危機

●初夏は気温が高くなっても湿度が低く、まだエアコンを入れるほどの暑さに感じないので、窓を開ければしのげる日が多くなります。湿度が30%~40%位となることが多く、気温が30度を超えるような日でも体感ではカラッとしているため風通しがよければそこまで暑さを感じません。

●このような人間の体感温度というのはIT機器の管理上にとってはとても厄介な問題になります。

●盛夏になれば室内にはエアコンが入るため、パソコンが稼働している室内は25度前後の気温になります。パソコンなどの精密機械にとって熱の問題はクリアできます。

●ところが初夏の30度超えは体感的に大丈夫でも、機器にとってはあくまでも30度超え。AI時代到来とは言え機器に体感温度はありません。30度以上の熱い空気にさらされることになり、稼働環境としてはエアコンが効いた真夏の室内より劣悪な状態になってしまいます。ですから、精密機類の温度管理は真夏よりも初夏は特に注意をする必要があるわけです。

効果的な放熱を簡単に解決する方法とは

●このように周囲の気温が高いせいで排熱が間に合わなくなり、パソコン本体やACアダプタが普段より熱くなることがあります。本当ならエアコンを入れていただきたいのですが、初夏ではまだ季節的に早いということもあります。そこで、パソコンやACアダプター、充電器類は日が当たらない風通しがいい最適な場所に移しましょう。パソコンや充電器を使用中は小型の扇風機などで風を当てて空気冷却することでも熱の問題を改善できます。

●気温と同じ温度の風を送っただけで改善するのか?と思われるかもしれません。しかし、30度以上の空気でも、50度近いACアダプターの熱やパソコンから発生する100度近い温度よりはかなり低いため、温度勾配が大きくなります。温度勾配が大きいと冷却効果はそれだけ大きくなります。

●扇風機を使うのは原始的だと思うかも知れませんが、絶えず新鮮な空気を送ることで温度勾配の分放熱が促されるのでかなり効果的なのです。

●しかし、パソコンなどのIT機器は通常でも空気冷却をしなければならないほど熱を発しているというのは、それだけ多くのロスが発生しているということです。テクノロジーが発達するほど多くの熱が発生して冷却が必要となっている矛盾は、どうにか解決できないのだろうかと思ってしまいます。

九州インターワークス 注目のページ
「パソコンの安定化対策」
http://www.kumin.ne.jp/kiw/antei.htm


この記事を書いたプロ

古賀竜一

コンピューターサポートのプロ

古賀竜一(九州インターワークス)

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