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コラム

コールセンターに毎日来ていたクレームが減少!! 問題の解決方法も身に着きました

2022年4月5日 公開 / 2022年9月6日更新

テーマ:お客さまの声_続編

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: チームビルディングマーケティング戦略モチベーション 上げ方

また今日も、オペレーターが泣いています。コールセンターでは毎日好ましくない現象が必ず起きていて、QAやSVは火消しに翻弄されています。「もう、自己嫌悪!!」「何とかならないの??」と云う申し入れに対応した実証実験に対するお客さまの声をご紹介します。


また今日も、コールセンターのオペレーターが泣いています

コールセンターのフロアは、他のフロアとは全く異なる雰囲気です。
理由は、一人ずつ仕切られたブースのパーティションに向って、多くのオペレーターが黙々とヘッドホン越しにお客さまと話しています。
フロアに居る人には、お客さまの声は聞こえません。
聞こえてくる音は、オペレーターの話す声と、コンピュータを操作する音です。
お客さまから架かってくる電話の呼び出し音をシステム側で消す設定が出来るので、呼び出し音は全く聞こえません。
そのためフロアを見渡していると、いたって平和な仕事場に見えてしまいます。
しかし、オペレーター達はクレームの電話対応に集中しています。
中には、きつめのクレームで、自身では太刀打ちできなくなりベテランに助けてもらいながら応対しているオペレーターも居ます。
更に、休憩室で泣いているオペレーターを見かける事も珍しくありません。
コールセンターの品質を管理して強化する役割のQAやSVだって、オペレーターがクレームの餌食になって、傷んでいくのを見て見ぬふりをしている人は居ません。
ただ、毎日起こるトラブルやクレーム対応で痛んでいくオペレーターに寄り添い、問題を解決していく時間が少ない状況なのです。
多くのコールセンターで働く人たちが、自分事で精いっぱいです。
そんな中、システム屋としてコールセンターの運営課題を解決する実証実験でフロアにお邪魔しているとQAから、この状況を示され
「早く解決したい」
と申し入れを受けました。
本コラムは、既に『お客さまの声』で公開している内容 + 具体的な改善の取り組みについて、詳しく解説していきます。
→ https://mbp-japan.com/chiba/activecs/voice/5003405/

コールセンターはお客さま接点だけれど、だからと云って感情的にならないで!!

QAから問題解決の申し出を頂き、早速コールセンター長に運営課題の解決に着手してよいか、許可を頂きに上がりました。
勿論、手ぶらではなく、少しばかりでしたがかき集めた情報を基に原因を想定して、対策案を用意して説明しました。
コールセンター長の反応は、直ぐにOKを出してくれましたが
「折角だから・・・・」
センター長自身もクレームの会話をモニタリングしたい。と希望されて、この問題解決への意気込みが強い事が伝わってきました。
その時のQA、SVやオペレーターの安心し嬉しそうな表情が忘れられません。
後でQAに伺いましたが、コールセンター長が興味を示さなかったときの事を考えていて、
「もし、興味を示してくれなかったら、見捨てられたことも同然!!」
「もう、そうなったら全員で辞めてやる!!」
と考えていたそうです。
結果的に、予想が外れて嬉しかったと教えて頂きました。
コールセンター長の意気込みに感動しながらクレームの録音データを探していたQAが、クレームを受けたオペレーターと日時、お客様名、クレーム種別を基に直ぐに該当する録音データを見つけ、聴く事が出来ました。
録音データを再生して聞いたコールセンター長は一言。
「コールセンターはお客さま接点だけれど、だからと云って感情的にならないで欲しい」
「ここまで強く言われると、いじめ(現在で言うカスタマーハラスメント)だよね!!」
「そもそもの本題と違うよね??」
と仰って嘆いていました。

コールセンターに毎日やってくるクレームで、オペレーターが痛んでいく

更にQAは、
「この様なクレームは珍しくなく」
「ほぼ毎日かかってきます」
と、コールセンター長に伝えると、コールセンター長は黙ってしまいました。
コールセンター長を囲んでいる人たちは、何故か悪い方に考えていったようです。
後でQAから発言がありましたが、コールセンター長が録音データを聞いて黙ってしまったとき

「やっぱり、問題解決は無理だ!!」
「みんな今まで通り、頑張ってくれ!!」



と云われたらどうしようか?? と考えたそうです。
それを聞いたコールセンター長は、
「あなた方を見捨てる訳ないだろう!!」
「見くびらないで欲しい!!」
と仰って、周りを取り囲んでいたQAやSV達は、安心したらしく笑いが起こりました。
コールセンター長は、続いて
「コールセンターに毎日やってくるクレームで、オペレーターが痛んでいく」
「いままで、どんな改善などの取り組みをしてきたの??」
と、問題解決に取り組んできたQAやSV改善活動が動き始めます。
聞かれたQAは、
「主に以下の取り組みです」
と紹介してくれました。

  1. 痛んでいくオペレーターと面談して悩みを傾聴しています
  2. 私にも乗り越えられたから、きっとあなたもクレームに耐えられるはず。
  3. ガンバレと応援します。
  4. クレームなど強いストレスと向き合うセミナーを紹介しています
  5. クレーム電話に対する対症方法を学べるセミナーを紹介しています
  6. 頑張った人を表彰して、みんなに頑張れば、あなたも乗り越えられる、と伝えています
  7. でも、どんなに応援しても、辞めていく人は居ます。

勝負の世界では攻撃は最大の防御と云うけれど、コールセンターにも応用できるの??

QAの取り組みを聞いていたコールセンター長から、
「沖本さんどう思う?!」
と話しを振られました。
話しを振られた自分は、以下の様に回答しています。

  1. 傷んでいくオペレーターとの面談は素晴らしい。と感じます。
  2. ただ、守りだけではなく、攻めが必要と考えています。
  3. コールセンター長から、「攻め??」「勝負の世界では攻撃は最大の防御と云うけれど、コールセンターにも応用できるの??」と確認が入りました。
  4. 応用できます。と回答しています。
  5. 具体的には、クレーム耐えるにしても、無期限ではなく仮決めでも耐える期限を定める必要を感じます。
  6. クレームに耐える期限は、そもそもなんでクレームが毎日来るのか??を調査して解決していく仮の期間です。
  7. クレームの元を放置していては、10年後も同じ現象に苦しむことになり、支出する経費も増える事が有っても、減らすことはできません。
  8. 応対ごとのお客さまの振舞いとオペレーターの振舞いデータを細部にわたり収集して、確認したい時点に遡って状況を再現できるシステムを使います。
  9. (最近はDXと呼ばれている取り組みです)
  10. このシステムの履歴データを遡り、一つずつクレームの元を明らかに絞り込み原因を特定して、解決していく事が出来ます。
  11. このクレーム問題の解決のために必要な人員は、当方でアサインします。
  12. 是非、応対などの現場対応とオフサイトミーティング対応をお願いいたします。

私でも出来ました。コールセンターの武装化は、予備知識が無くても実現できます

システム屋が考えるコールセンターで起きている運営課題の解決手順と方法は以下の通りです。

以下の方法は、自分がシステムエンジニアとして、①QCDを守るコールセンターシステムの設計や②構築のプロジェクトリーダーを担当したり、システムが完成してコールセンターで応対業務を担う人達に、③コールセンターとは、④期待されている事とは、⑤期待に応えるための技術とはなどの講師を担当してきたりした経験を基に運営課題の解決を担当し、上手くいかないところを修正した手順と方法です。
1.防御力を高めるための攻撃編
 A)毎日、クレームが攻めてくる
  ①多くのコールセンター利用者は、オペレーターにクレーム目的で電話してきません
  ②利用者に提供しているサービスや商品などの企業の本業に対して、何か解決したいから問い合わせしてきます
  ③クレーム対策にはいろいろありますが、本来行うクレーム対策は、企業が提供する本業内に潜む問題を解決する必要があります。

 B)防御力を高めるための攻撃とは
運営課題を解決するプロセス
  ①本業内に潜む問題を解決するための攻撃とは、コールセンター利用者が解決したい問題に共感し、解決して欲しいターゲットと解決したら何が嬉しいのかをしっかり聞き出すことです。
  ②聞き出した事を企業内の担当部門に、しっかり伝え改善の進捗を管理する事をコールセンター利用者に宣言すれば、多くのコールセンター利用者は納得してくれます。
  ③理由は簡単です。応対しているオペレーターは解決したい問題の大元(おおもと)ではない事ぐらい分かっているからです。
  ④聞き出した情報を関連部門に伝達して、進捗を管理する事をこのコラムでは『防御力を高めるための攻撃』と呼んでいます。
  ⑤そもそも、コールセンターはお客様窓口ですから、会社の組織でありながら『お客さまの声を社内に届け、改善の進捗をお客さまの代わりになって見届ける』係です。相談を受けるコールセンターの中には時々、コールセンターの立場を会社の立場に設定して、お客さまから届くクレームをただ聞き流すだけ!! に特化している企業もあります。びっくりした事例は、応対するオペレーターへの指導も「あくまでもガス抜きだから、傾聴して怒りを宥めて」と教育しているようです。そしてそのような企業の中には「お客さまの声を大切に!!」とか、「お客さまから頂いた貴重なVOCを 有効活用させていただいています」と学生向けの企業説明会でアナウンスしていて、本当??と驚かされる時があります。
  ⑥そして、実証実験で分かったクレームの中には、担当部門に伝えても改善できるかどうか保証できない。と云う回答に納得できないコールセンター利用者の多くは、何とか改善して欲しい気持ちがたかぶりクレームになってしまったケースを確認しています。

 C)クレームの原因を無力化する方法
  ①クレームの種類を分類
   クレームにも種類があります。
   コールセンターごとに、クレームを分類しましょう。
  ②クレームの本質を捉える
   クレームの多くは、傾聴してもらいガス抜きがしたいわけではありません。
   何かに困って問い合わせしてきます。
   困っている事とその場面が再現できるように背景までも聞き出すスクリプトを用意しましょう。
   ここで言うスクリプトとは、竹のほうきの様に条件ごとに分岐が増えて、状況を文脈として遡れることが必須です。
  ③解決策と解決までの役割分担や連携する時ルールを計画する
   企業が提供する本業に潜む問題を特定して解決するためには、組織間の連携が必須です。
   組織間で連携するルールを決めましょう。
  ④解決策を試してみる
   例えば、隣の部門とお花見などのイベントを共同で企画します。
   どんなイベントにするのか、何時実施するのか、そのイベントに必要な準備は何か??などを参考にして、クレームを解決するために必要な取り組みを列挙して連想ゲームしてみましょう。
   連想ゲームを事前にすることで、実際の部門間連携は思ったよりスムーズに進められます。
  ⑤想定と結果を突き合わせて、『理想』に近づける修正を入れる
   実際に部門間連携してみると、想定外の事がどうしても起こります。
   想定外に対する対策を組み込むことも大切ですが、次から想定外の事が起きた場合の対処の方法などもルール化すると問題解決のスピードを速める事が出来ます。
  ⑥クレームなどの問題を認識してから解決し、お問い合わせの中からそのクレームが減ることを観察しましょう。
   観察する事で、実施した対策の効果を測定する事が出来ます。
   そして、クレームが減るまでの時間や無くなるまでの時間(期間??)を測定しておくと、組織間連携が当初取り組んだ時よりどれだけ早くなったのか目に見える形で確認できます。
   この指標をKPIに盛り込むことをお勧めしています。

2.防御編
(当社は応対支援用AI人工知能『コーチングエンジンⓇシステム』に実装する貴社独自のスクリプトを作成するためのファシリテーションを行います)
 A)隙を見せない応対の仕方
  ①コールセンターの考え方を統一しておく
  ②誤解されない聴き方、伝え方を用意しておく
  ③クレームに対する臨みかたを伝える
  ④分かっている事と、分からない事を使い分ける
  ⑤勘違いが無い事を確認し、過不足を修正するか、宿題として後日連絡する

コールセンターに泣いているオペレーターが居なくなり、楽しそうな笑顔が増えています

対応してもらったことで、コールセンターで泣いているオペレーターが居なくなりました。
応対中は、大きな声で笑う事は出来ないので、会議室、休憩室や廊下で話しをするときには、大きな声で笑う人が増えました。
コールセンターの運営課題を解決する沖本さんは、今まで接してきたシステム屋とは違っていました。
今までは、システムが完成する引き渡し日まで構築メンバに丸投げでお任せしていたため、自分たちは参加することが有りませんでしたが、オフサイトミーティングと云う手法で、沖本さんがファシリテータとなって現場の状況や意見をまんべんなく引き出して、理想とかけ離れていたコールセンターの現場の業務改善を進めてもらうことを体験出来ました。
自分たちが大切にする価値を現実化する業務改善に参加したことで、今まで縁遠かった問題解決の進め方を経験し、少しずつですが次の事が出来るようになりました。
これからも自分たちの大切にしている価値を尊重しながら業務改善が継続できると考えています。
1.日ごろから「なぜだろう??」の感覚を研ぎ澄ます
 A)見える事、報告される事、まとめる事、相談や報告する事に「なぜだろう??」とお互いに質問を投げかけてみましょう。
2.ホワイトボードを囲んで、起きている現象の問題と対策案を見える化
 A)起きている事が単独で発生する事は、ほぼありません。
 B)起きている事は、どんな原因で起きているのか見える化。
3.問題を正しく理解できる
 A)見える化すると、過去の原因から現在の現象が起きている事を発見できます。
 B)過去から現在を整理して見える化できると、何かしらの法則を見つける事が出来ます。
 C)見つけた法則を用いて、過去→現在→未来を予測してみます。
 D)予想が当たれば、見つけた法則が適切だったことを証明してくれています。
 E)もし予測が外れても、法則の発見時に組み込まなかった未知の変数Xが有れば、修正して以前発見した法則をバージョンアップさせましょう。
4.現象を引き起こす原因はまるでミルフィーユ
 A)現象は、好ましい現象ばかりではありません。
 B)好ましくない問題現象は、無力化する事が必要です。
 C)多くの場合、好ましくない問題現象には、いくつかの原因がきっかけとなります。
 D)幾つか考えられる原因には、連鎖反応の様な時間的な流れが有る原因が有ります。
 E)コールセンターの運営課題を解決するためには、この連鎖反応の始点(真の原因)を特定して、この真の原因に対策を打つ必要が有ります。
 F)連鎖反応を縦に積み重ねるとまるでミルフィーユの様に階層構造になっている事が分かります。
5.解決方法や対策案は、幾つも存在する
 A)真の原因に対する対策で、好ましくない現象を無くす方法は一つではありません。
 B)真の原因に対策を打つと、今までとは異なる連鎖反応が始まります。
 C)その今までと異なる連鎖反応は、好ましい結果を生まなければ、真の原因に施した対策は意味がない対策と判断します。
6.どの解決案を選ぶかで、未来は変わる
 A)真の原因への対策例として、コールセンターの運営課題が毎年コールセンター白書の上位にランクインしています。
 B)ここから読み取れる事は、二つです。
  ①今まで真の原因と特定していた問題は、実は真の原因では無い
  ②今まで真の原因と特定していた問題への解決策が相応しく無い
 C)今まで継続してきたとこは、意味があることが多いですが、高い離職率が改善できない、呼量削減が出来ない、応対品質を上げられない、平均処理時間(AHT)が短縮できないなどは、今までの活動を再チェックしていく必要が有ります。
 D)コールセンター白書に毎年エントリーしている運営課題の多くは、必ず解決できます。
 E)今までは、88%のコールセンター利用者が要件を聞いてくれないと不満を訴えています。その反動でコールセンターが期待している目的通りに利用者がYesと反応している割合は20%にとどまっています。約8割のコールセンター利用者がその企業から離反している事になります。
 F)この結果、現在の企業価値は理想値の7分の1に圧縮されています。
 G)極論ですが、コールセンター白書の運営課題が解決できれば、企業価値は今の7倍に回復する計算です。
7.問題解決に全員が参加する
 A)コールセンター白書の運営課題は解決できます。
 B)しかし、コールセンターは企業の中の組織なので、一人だけで解決できません。
 C)コールセンター白書の運営課題の解決は、少しずつ役割分担して解決します。
8.問題解決までのスピードが早まる
 A)ただ、細かく役割分担をすると連動や連携するために、空白の時間が発生し、着手したときは、中々思うようなスピードで問題の解決には至らず時間が掛かるものです。
 B)しかし、コールセンター白書の運営課題の解決の2例目、3例目と解決していく中でも、初めの1例目と同じように時間が掛かるでしょうか。
 C)そんなことはありません。連携先も決まり、段取りも修正が進み、必ずコールセンター白書の運営課題は解決スピードも速まるはずです。
 D)コールセンター白書の運営課題の解決スピードを速める方法は、2つ。
  ①兎に角、手続きや受け入れ速度を速め経験曲線効果を狙う方法。
  ②コールセンター白書の運営課題の解決のために必要なことのみに集中するためにムダムリムラを無くしていく改善を推進する方法。


頂いている元QAのお客さまからの声は、ここまでです。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
このコールセンターの事例は特殊な事例ではありません。
どうですか。
コールセンターの運営課題は聖域で解決できないと諦めていませんか。

コールセンターの運営課題のほとんどの問題は解決できます。
貴社の事情を伺えれば、運営課題を解決できるか否かの相談に乗らせて頂きます。
是非、お気軽にご相談ください。

追伸.
コールセンターでお客さまとの応対に臨むオペレーターを支援する当社AI人工知能『コーチングエンジンⓇシステム』の応対支援画面について「機能説明が欲しい」とお問い合わせを頂きhttps://activecs.co.jp/news/768.html
に、公開いたしました。
是非、機能説明もご確認ください。

弊社ホームページでも運営課題の解決方法をご紹介しています。
 https://activecs.co.jp/
解決方法を仕入れご活用ください。

この記事を書いたプロ

沖本能道

AIを活用しコールセンターの価値を高める専門家

沖本能道(株式会社アクティブ・コーチング・システム)

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