コラム
事業承継税制の特例延長か
2023年11月27日
2024年度税制改正に向けた各省庁の要望が出そろいました。経済安全保障の強化や脱炭素を目的とした長期支援策が目玉となるほか、岸田文雄首相が掲げる「構造的な賃上げ」実現のため、賃上げした企業の法人税負担を軽減しやすくする要望も並んでいます。中小企業支援策としては、事業承継税制の特例の延長を経産省が要望。今後、政府と与党税制調査会が要望を基に議論を重ね、年末までに税制改正大綱をまとめます。
事業承継税制の特例は、18年度税制改正で時限措置として新設されました。従来の同税制では、自社株を相続によって引き継いだときに税負担が免除されるのは株式の3分の2のさらに8割にとどまっていたところを、特例では株式の全てについて納税猶予を認め、事業を続ける限りは税負担がゼロになりました。またそれまでは税優遇を利用できるのは現社長から後継者1人に対する自社株の引き継ぎのみでしたが、特例では最大3人まで後継者を選ぶことができ、現社長以外からの株の引き継ぎについても対象となるなど、使い勝手が向上しました。それまで同税制の申請件数は年間400件程度でしたが、特例で年間6千件まで増加しています。
現行の特例措置は27年末までの自社株引き継ぎが対象で、その前提として特例承継計画を作成して24年3月末までに提出する必要があります。経産省は計画提出までの期限が1年を切ったことを受け、今夏の税制改正要望で、申請期限、自社株引き継ぎ期限の両方の延長を求めました。
その他、今年度末に期限を迎える賃上げ促進税制の延長・拡充も要望。中小企業などを対象に赤字などが原因で使えなかった税額控除分を繰り越せるようにするほか、仕事と子育ての両立支援に積極的な企業に控除率を上乗せすべきと経産省が求めました。
<情報提供:エヌピー通信社>
関連するコラム
- 契約書に貼る印紙税の軽減措置が2年延長へ 2022-07-21
- 個人住民税における合計所得金額に係る規定を整備へ 2022-10-20
- 適格返還請求書の交付義務が免除される場合 2023-09-11
- 成年(成人)年齢18歳による税務上の影響とは 2022-07-04
- 税務調査の「後出し経費」が不可に 2022-03-28
カテゴリから記事を探す
伊藤惠悦プロへの
お問い合わせ
マイベストプロを見た
と言うとスムーズです
勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。