コラム
患者の心理を踏まえた、丁寧で温かみのある応対とは
2015年4月30日 公開 / 2024年4月16日更新
患者の立場になって考え、行動に移す
医療機関にはさまざまな理由で患者さんが訪れます。さまざまな理由ということは、一人一人、理由が違い、気持ちも違うということです。つまり、同じ対応をするだけでは、患者さんにとっては最良のケアとは、ならないのです。
痛みがある患者さんと、痛みがない患者さんにかける言葉が、同じということは、それは気配り・心配りが行き届いていないのと同じではないでしょうか?
医療従事者が行うべき最良のケアとは、自分が患者の立場になった時を想像することや、今まで自分自身がけがや病気になった時の経験から、患者さんが何を求めているのかを、考えて行動することと言えます。これは「カウンセリング」の際の大切なポイントと合致しています。医師や看護師として、常にオーバースタンドの立場で相手を操作しようとするのではなく、気持ちに寄り添おうとするアンダースタンドの立場で、患者さんを理解し支援するアプローチが大切といえます。
相手の感情に寄り添い同じ目線に立つことで、支援の選択肢が出来る
接遇マナーの本や研修などで教えられることは、ほんの一部です。
本や研修などで教えられた範囲のマナーは、人を選ばず対応できる必要最低限のマナーであることをまず前提としましょう。
一般的に皆さんが人との接し方についてその方法を考える際、「接遇=ビジネスでのコミュニケーションスキル」という大きな括りで捉えがちですが、その表現する方法には、5つの分類があることをご存知でしょうか?
1つは、「モラル」…人として、道義的・倫理的な観点から行動すべきこと。
2つ目は、「マナー」…相手を不快にさせない為の、必要最低限の振る舞い。
3つ目は、「サービス」…相手の為に気を配って行い、満足を提供すること。
4つ目は、「ホスピタリティ」…相手の気持ちに寄り添い、今、自分が出来ることは何かを考え、その人 の個性や感性で行動に移すこと。見返りを求めてするのではなく、行う者の「心」が一番現れる接し方。
5つ目は、「おもてなし」…相手に手厚く接することで、心遣いを表すこと。また、その行為に裏表がない(相手がその場にいなくても、気遣いを形に表わす)態度や行動のこと。
このように、5つに分類することができます。
医療接遇の点からいうなら、どんなに患者さんが多くて、多忙を極めていても患者さんお一人お一人を、人として尊重し大切に接することが、医療従事者としての「モラル」といえるでしょう。また、身だしなみに気をつけて、不快な思いをさせない意識や患者さんへの配慮は、マナーと言えます。3つめのサービスは、患者さんの意向に沿って、予約診療を行うことで、お待たせせずに診察出来る状況を作り、患者さんの負担を減らすことなどが挙げられます。
4つめのホスピタリティこそが、医療従事者に求められることだと言えます。目の前の患者さんの事を考え、気持ちに寄り添い、自分なりの言葉や支援で患者さんに満足してもらうこと。あなたらしい「お声かけ」が、求められているのです。
では医療現場におけるおもてなしとは、どのようなことでしょう。
相手がその場にいなくても、病院としての心配りが感じられるような出迎えの準備こそが、医療におけるおもてなしではないでしょうか?患者さんが心地いいと思える空間作りや、癒し効果のある緑や花などを院内に配置することで、一見直接患者さんに関わることではないようですが、来院した方を大切に思う気持ちを表した、何よりの方法であるといえるでしょう。
➤患者に信頼される「言葉づかい、敬語」
➤患者に好感を与える、感じの良い挨拶、聴く姿勢
このように、人との接し方がいくつにも分けられるように、医療従事者が患者さんに接する際も、今行っていることは、どの程度の接し方なのか意識してみることも大切です。意識することで、患者さんが十人いれば、そこには十通りの応対があることに気が付くはずです。
不安や痛みをかかえた患者さんの気持ちに寄り添い、同じ目線で物事が考えられる医療従事者は、ホスピタリティ精神に溢れ、心のこもったお声かけや、今行うべき支援は何か、最善の選択肢が出来るといっていいでしょう。患者さんへの対応は、一つとして同じことは無いということです。
誰かの真似や義務ではなく、自分なりの思いやりの心を表した「ホスピタリティ」
今日から、実践してみてはいかがでしょうか。
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ビジネスマナー講師 谷澤優花
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